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外国人雇用

投稿日:2020年11月17日 更新日:

マレーシア留学生の現状 〜奨学金事情について〜

この記事は外国人採用ノートに掲載されていた内容に加筆修正し公開した記事になります。

 

(本記事は、弊社が2016年10月に公開した記事を転載したものです)
田上「最近マレーシア在住のマレー系の方々から日本への転職相談を受けることが多いんですけど、一体何が起こっているんでしょうか?みなさん優秀な日本の国公立の理系学部を卒業して、しっかり研究をされているようですし、日本語ペラペラ、英語もみんなTOEIC800点以上持ってますね。間違いなく日本の就職で有利だと思うのですが。彼ら/彼女らに聞いてみると、「奨学金事情」だとか 。。」

Aunee「こんにちは、アウニです。実は日本の国公立大学で理系を専攻している学生の多くはマレーシア政府から奨学金をもらっているんですよ。マハティール元首相のルックイースト政策の影響で、日本で技術を学びに行く学生に関してはたくさん奨学金を出しています。しかしその奨学金にも種類があって、留学後は帰国義務があるものもあります。マレーシアはあんまり景気がよくなくて、最近は奨学金の枠を縮小したり、帰国の義務を徹底したりなど行っているみたいです。」

田上「えー!そうなんですか、グローバルに働けるエンジニアが不足している日本において、語学力堪能なマレーシア出身者は間違いなく魅力的だと思うのですが、そのような奨学金事情があるんですね。今後、人事担当者が気にすべきトピックだと思うので、奨学金事情についてまとめてくれますか?」

Aunee「了解しました。頑張ります(^^) 」

マレーシア留学生の留学財源

日本で留学するマレーシア人は4つのグループに分かれます。

  • マレーシア政府の奨学金受給者 (JPA, YPMなど)
  • 日本の文部科学省の奨学金受給者
  • 法人企業の奨学金受給者(例としてPetronasの奨学金受給者など)
  • 自己資金

4つに分かれても、ほとんどのマレーシア留学生はマレーシア政府から奨学金をもらいます。ほかのグループのマレーシア留学生は非常に少ないです。日本は技術が強いイメージを持っているのでほとんどのマレーシア留学生は工学を勉強しに行きます。ほかの分野を勉強するマレーシア留学生もいますがちょっと少ないです。

もともとはルックイースト政策のきっかけでマレーシア政府がだんだんマレーシア学生を日本に送ります。ルックイースト政策は1982年にマレーシアの第4代首相に就任したマハティールが提言したアイディアで、日本・韓国の集団主義と勤労倫理を学べという政策です。

このため、現在でも、マレーシア学生が日本で留学できるようにマレーシアの政府が奨学金を出します。一般的にはほとんどのマレーシア留学生はマレーシア政府人事院 , LookEast政策(Jabatan Perkhidmatan Awam (JPA))から奨学金をもらいます。そして、マレーシアの留学生のためにマラ教育財団(Yayasan Pelajaran Mara(YPM))も奨学金を出します。

これらの奨学金受給留学生は4つのグループに分かれます。

マレーシア政府奨学金の種類

  • Ambang Asuhan Jepun (AAJ)/マラヤ大学予備教育部 - JPAの奨学金受給者
  • Kumpulan Teknikal Jepun (KTJ)/ 高専予備教育コース -JPAの奨学金受給者
  • Institut Bahasa Teikyo (IBT) /帝京マレーシア日本語学院 - JPA、法人企業の奨学金受給者または自己資金
  • Malaysia Japan Higher Education Program(MJHEP )/マレーシア日本高等教育プログラム-YPMの奨学金受給者

AAJの学生は日本で留学する前にマレーシアのマラヤ大学で2年間くらい準備しています。あそこで、日本語だけではなく、専門科目(物理、化学、数学)や英語も勉強します。物理・化学・数学に関しては、1年後半からは日本語での授業となります。2年間のあとは工学部生として日本の大学に入ります。また、KTJの学生はINTEC Education Collegeで2年間を準備してから、日本の高専で3年間を勉強します。そのあと日本の大学に入ります。IBTの学生も2年間くらいマレーシアで準備したあと日本の大学に入りますがKTJまたはAAJとちょっと違って、工学だけではなくて、ほかの分野も日本へ留学しに行けます。しかし、JPAの奨学金がもらえるIBTの学生はあまり多くないです。

MJHEP学生の場合は、以上の学生グループと違って、3年間くらいマレーシアのクアラルン プー市近郊ブラナにある UniKL(クアラルンプー大学)に勉強してから日本で留学します。しかし、MJHEPはツイニングプログラムなので、日本語、物理、化学、数学だけじゃなくて、ほかの専門科目もマレーシアで勉強します。3年間の中に、1年間は準備みたいで日本語、物理、化学、数学などを勉強します。残りの2年間は大学部の1年生と2年生として日本の大学と同じような専門科目のシラバスを日本語で勉強します。この3年間の後は、3年生の編入生として20日本の大学に入れます。

最近はマレーシアの経済あまり不安定ですので、2016年から日本で留学するためJPAの奨学金をもらえる留学生が少なくなりました。今年からJPAの奨学金プログラムが変わって、日本、韓国、ドイツ、フランスで工学を勉強するために特別プログラムがあって、それは200人しか奨学金をもらえません。そして、今年からでもJPAの奨学金の契約またはルールも厳しくなりました。JPAの奨学金受給留学生は大学を卒業後帰国の義務があり、マレーシアで必ず就職しないといけませんが去年まではあまり守られていませんでした。しかし、2016年からはルールが厳しくなりましたので、卒業後必ずマレーシアへ帰国して、公共部門で就職をしないといけないみたいです。それをしなかったら、全部もらった奨学金を返さないといけません。しかし、JPAの奨学金受給者結構多いので、公共部門で就職するように選択されていない奨学金受給者もいます。これらのJPAの奨学金受給者のためは(Scholarship. Talent Attraction and Retention)STARイニシアティブというプログラムがあります。STARイニシアティブは、民間企業がJPAの奨学金受給者を雇用するためのプログラムです。JPAは、STARイニシアティブを高めるために、2016年8月にタレント社と覚書(MoU)締結して、今後5年間のパートナーシップを更新しました。これで、公共部門で就職するように選択されていないJPAの奨学金受給者は民間部門で働けます。STARについて詳しく知りたかったらhttps://star.talentcorp.com.my/site/faqをご覧しなさい。

一方、YPMの奨学金受給留学生はJPAの学生と違って、卒業のあとは帰国義務はありません。

田上「なるほど、とても勉強になりました。ありがとうございます。今後はマレー系の学生に関しては奨学金の種類と、帰国義務については事前確認が必要ですね。」

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