(本記事は、弊社が2016年7月に公開した記事を転載したものです)
ASEANのおさらい
おさらいですが、ASEAN諸国とは以下の国々10カ国のことを指します。
また念のため、どこにあるのかも見ておきましょう。以下、出典はGoogle先生です。
留学生総数とASEAN出身留学生数
現在の外国人留学生総数はおよそ20万人。政府は東京オリンピック開催年である2020年までに、留学生の数を30万人まで増やす方針を発表しています。一方、ASEAN諸国からの留学生で見ると、順調に増加傾向(および5万人)にあるものの、ベトナム以外は微増といった状況です。
留学生 | 合計 | 208,379人 |
大学院 | 41,396人 | |
大学(学部) | 67,472人 | |
短期大学 | 1,414人 | |
高等専門学校 | 519人 | |
専修学校(専門) | 38,654人 | |
準備教育課程 | 2,607人 | |
日本語教育機関 | 56,317人 | |
ASEAN留学生 | 合計(※ラオス・ブルネイ除く) | 53,209人 |
ベトナム | 38,882人 | |
タイ | 3,526人 | |
インドネシア | 3,600人 | |
マレーシア | 2,594人 | |
ミャンマー | 2,755人 | |
フィリピン | 1,028人 | |
カンボジア | 509人 | |
シンガポール | 315人 |
※独立行政法人日本学生支援機構ページより作成(平成27年5月1日時点)
キャリアの志向性
留学生のキャリア観ですが、おおよそ以下の4つに分類できます。私たちはサポートしている留学生たちからヒアリングを行っていますので、大体の割合も示してみたいと思います。
- ずっと日本で働きたい
- 数年日本で働いたあと母国で活躍したい
- グローバルに活躍したい
- 母国の日系企業で働きたい
1. ずっと日本で働きたい
ボトム層〜ミドル層に多い志向性です。日本での生活へのあこがれ、故郷の家族への仕送り等、理由は様々ですが、泥臭くがむしゃらに働ける方が多いのが特徴です。
2. 数年日本で働いたあと母国で活躍したい
最も多いボリュームゾーンです。ミドル層〜アッパー層に多いです。母国との関係性がある仕事を望むため、母国に拠点がある会社様ですとマッチングしやすくなります。逆に明確にキャリアパスがなくても、展開可能性や、取引先が母国にあるだけでも十分留学生には魅力的に映ります。
3. グローバルに活躍したい
優秀なアッパー層に多いです。専門性やスキルが高く、貪欲さがある方が多いです。優秀なため、引く手あまたであり、採用競争は最も激しくなっています。
4. 母国の日系企業で働きたい
ボトム〜アッパー層まで問わず、家族との時間を大切にし、あるいは親御さんの近くで働きたい方です。日本語が習得しきれなかった、あるいは日本の文化に馴染めなかった方も母国での就労を望むケースがあります。
働き方やキャリアの多様性をもっと認めていくことが重要
日本企業の場合、特に大企業で多いですが、ずっと日本勤務の前提で留学生採用を目指されるケースもあります。しかしながら、例えば自分が志高く海外に留学していることを想像してみてください。その国でずっと働きたいというモチベーションは湧きますか?人に寄るとは思いますが、他の国での活躍のチャンスもあったらいいな、とか、母国ニッポンでいつかは一旗あげたい、という気持ちになる人の方が多い気がします。
留学生の中には、本当にもうなんでもいいからとにかく母国を出て日本で永住権を取ってずっと日本で暮らしていきたい、という方も中にはいらっしゃいます。しかし、「ずっと日本で働きたい」と回答している留学生も、日本人が都合よく言葉通りに解釈するのもまた違うかなと思います。
結局、海外の子会社やグループ会社で働けるキャリアパスを準備してあげるとか、もし日本でずっと勤務してもらうことを前提としていた場合も、母国とのつながりがある仕事を任せてみるとか、そういうことができると留学生たちからのエントリー熱も格段にあがると思います。
まだ子会社もないし母国とのつながりがある仕事も少ない場合でも、今後の可能性を見せるなど、逆にそこすらできない場合は、特に「高度人材」と呼ばれるレイヤーにおいては、外国人(留学生)採用はお勧めできません。
まだしばらく続きそうな「売り手市場」。今のうちに留学生採用、外国人社員の定着・戦力化のための制度設計などを一気にすすめておくことを、おすすめします。