(本記事は2019年7月に弊社が公開した記事を転載した記事です)
こんにちは、田上です。
かつて書かせていただいた「ベトナム人採用の実態」にかなりのアクセスがあり、未だに長寿コンテンツとなってますが、
作成日が3年以上前で、現在の実態を反映できてないこともあり、今回アップデートさせていただきます。
留学生数は7万人超、3年前の2倍増。
加熱し続ける日本留学ブーム、ついに1位の中国に迫る2位の留学生数となりました。ベトナム人の留学理由は、
①奨学金
②出稼ぎ
の2属性に分かれますが、①の奨学金については、文部科学省・大学・企業などの奨学金枠が毎年限られているため、ほとんど数値的インパクトはなく、急増した分はだいたい出稼ぎ目的の留学になります。出稼ぎ目的の留学は、だいたい財源が私費であり、日本で就職すればよい給料がもらえ、母国に仕送りをしたい。ただ、ベトナムにいたままでは日本で働くチャンスが非常に少なく、日本の就職活動は1年くらいの期間を要するため、手軽に日本に長期滞在できる手段として「留学」を選ぶという実態です。
学費を下げて生き残りを賭ける、大学・専門学校・日本語学校、だいたい文系
とりあえず就職活動のため「留学」という身分がほしいが、日本での進学には多額な費用を要するため、学費が高く、授業の拘束が多い理系の学校は避けられる傾向にあり、今出稼ぎで来日している方々の大半は文系です。彼らは週28時間以内のアルバイトをしながら学費を稼ぎ、授業に参加しています。また理系留学が減少した背景としては、ベトナム現地でもN3レベルの日本語能力を持ち、理系大学を卒業していれば、技術系派遣会社がベトナム現地での採用活動増え始めているのも影響しているようです。技術系トップのハノイ工科大学であれば、本人が「留学」を選ばなくても、世界各国から有名な企業大学に採用活動をするような感じになりつつあります。
和を大切にする、中国人留学生型、就職・転職スタイルへのシフト
留学生数が2ー3千人程度であれば、絶対的な留学生コミュニティー・強みを持つエージェントの存在はある程度機能しますが、ベトナムの場合はそのような状況ではなくなってきました。地域ごと(東京、大阪、名古屋etc..)のコミュニティ、出身大学ごとのコミュニティ、出身高校ごとのコミュニティなど、日本にコミュニティが乱立しているため、1社(1者)が幅を利かすことが困難となっています。その場合一番心の拠り所となっているコミュニティや仲の良い友人からの情報が一番信頼度が高いため、採用活動や人材紹介会社の利用の際にはより綿密に採用ターゲットを絞らないと採用は難しいとも言えます。次の章に留学ルート別のベトナム人の考えを整理しますが、弊社の得意分野は①であると言えます。
留学ルート別ベトナム人の考え
①奨学金をもらって日本の大学に在学している人 (来日歴5年以上)
若くして日本に来日して、大学生活を日本で過ごしています。日本語は流暢、学校でもしっかり勉強しており、機械・電気・建築・情報などの理系出身者も多くいらっしゃいます。この属性に関して言えば、多くの企業が採用したいと考えているため、留学生は仕事を選べる状況にあります。その中で、人気の仕事は、自分のバックグラウンドを生かすことができ、かつ、仕事においてベトナムとのつながりや、将来的にベトナム勤務で幹部候補となることのできる仕事となります。若くして親元を離れているため、将来的なキャリア設計をベトナムで考えている方が多いのも特徴です。ベトナムと関わりたく転職活動をしている方々もこの層には多く見られます。
②私費で日本の学校に在学している人 (来日歴5年〜1年半程度)
ベトナムで大学や短大を卒業して、就職活動のために日本語学校・専門学校(一部大学)で留学生になる方々です。今、一番多い層とも言えます。だいたい文系で、授業とアルバイトで忙しくしている方々です。日本語学校・専門学校は首都圏に偏在しているため、この層の方々は、就職活動で勤務地を重視する傾向にあります。能力については一概に評価しにくく、ベトナムのトップ大学出身者もこのルートで見かけることができます。また彼らの就職活動のスタートは概して遅く、だいたいが卒業年次の夏の日本語能力試験と学校の中間試験を終了した段階で就職活動戦線に乗り出すため、夏までに採用を終了する文化のある会社では意外と出会いにくいかもしれません。
③派遣会社で日本で働いている人 (来日歴2年未満)
近年は技術系の派遣会社やベトナム現地での理系大学のリクルーティングが発達しており、それ経由で日本にいる方々を指します。理系ですので、性別はだいたい男性になります。N3レベルの日本語は仕事を通じて上達し、来日2年程度あればN2試験に合格する方々もけっこう出てきます。そこで彼らは派遣社員の次のステップとして正社員を目指し転職活動を行っている状況が目立ちます。また正社員にこだわる理由としては、だいたいが20台中盤の男性のため、母国で婚約者や配偶者、子どもがいることが少なくなく、日本で安定した仕事についたあと、配偶者を日本に連れて行き、長く生活の基盤を置きたいという気持ちがあります。
次の記事では採用事例などを紹介していきたいと思います!
https://www.nodejpn.com/journal/humanresource/2898.html